一人の青年が橋から遠くを眺めていた。
彼の名はエリック。実はエリックはある悩みを抱えていた。
「はぁ、何でこうなるんだろ・・・」
エリックは力なくぼやいた。するとエリックはバランスを崩してしまった。
一方土手の下ではサニーが寛いでいた。サニーが橋を見た瞬間一人の男性が転落してきた。サニーは慌てて彼を受け止めると事情を聴いた。
「死ぬほど辛いなら私が聞いてあげるよ。」
「そうじゃなくてうっかり落ちてしまったのだが、俺はエリック、訳あってここまで逃げてきたんだ。」
エリックは事の経緯を明かした。
エリックには発達障害があり、障害者枠で就職したが、障害を理由に差別や偏見にさらされていた。同僚からは冷たくされ上司からはパワハラなど当たり前で時には同僚の前で殴られたり蹴られたりすることもあったという。エリックはそんな状況に嫌気がさし逃げ出していた。
障害への理解のなさに苦しみ、自分にはなぜ障害があるのか?障害がある自分は普通に生活を送れないのか?障害があると幸せになってはいけないのか?エリックは自分の境遇に苦しんだ。
しかしそれでも今の職場を失うと再就職できるのかもわからないし逆に障害をクローズすると逆にバレるのが怖くなり、その上一般枠でやっていけるのかもわからない。もはやどうすればいいのかわからず混乱したエリックは橋から遠くを眺めてるうちに土手の下に転落していた。
エリックの苦しみを聞いたサニーは彼を優しく抱きしめると次第に甘えた表情を浮かべた。誰にも理解されなかった環境で初めて甘えることができた瞬間だった。その後エリックを呼ぶ声が聞こえたので振り返るとそこには社長がいた。
「みんなエリックのこと心配してるそうだ。早く戻ろう。」
しかしエリックはいじめのトラウマから戻るのを拒んだ。しかし社長はめげずに喋り続けた。
「障害について理解しきれず誤解や偏見を招いてしまったことは悪いことしたと思ってる。これからは障害についてもっと理解を深め誤解のないよう努めていくから早く戻れ。」
「どうせ口だけでまた繰り返すのでしょう?もう誰も信用できません!」
社長の言葉にも信用できないエリックはなおも拒むが、見かねたサニーはエリックを会社へ連れていくことにすると3人は会社に向かった。
サニーは二人を見送ると会社を後にした。
その後エリックは細かい点に気づくなどしたことで製品の出来栄えもよくなった他生産性の高さもあって、会社の経営も上向きになっていったようだ。
障害者雇用の促進が進められる一方障害への理解が浸透していないと差別や偏見にさらされることも多くまだまだ課題は多い。障害者雇用を浸透させていくには我々が障害への理解を深めていくことが重要になるだろう。
終わり